神谷のウエマツソウ・ホンゴウソウ自生地

神谷こうのたにのウエマツソウ・ホンゴウソウ自生地じせいち

所在地
いの町小野
指定日
昭和37(1962)年12月6日

県下ではいの町にしか見ることができない稀産植物、ウエマツソウとホンゴウソウの自生地が神谷小野にあります。

ウエマツソウ

ホンゴウソウに似ているが別属で、高さ7㎝から15㎝、茎はホンゴウソウより太く直系約1㎜、やや角ばり暗紅紫色です。花も大きく暗紅紫色で直系は約4㎜、下向きまたはななめ下向きに開き、花柄は短く、花被片は線状披針形で先端は鈍頭だが、ホンゴウソウのように花被片に大小がなく反りかえりません。また棍棒状の附属物もなく、雄花が花柄の離層から落下することもないことから、これまでホンゴウソウ属だったのを切り離し、ウエマツソウ属としてたてるようになりました。

本州中部地方以西の太平洋岸、四国、九州、琉球列島に分布し、飛び離れて新潟県の海岸に近い低地でも発見されています。

日本で最初に発見されたのは明治35(1903)年、植松栄次郎等によって、まず、ホンゴウソウが三重県三重郡楠町本郷で発見され、産地を記念して、本郷草と名づけられました。ついでウエマツソウは高知県で時久芳馬によって最初に発見されて、別名“トキヒサソウ”ともいいます。

ホンゴウソウ

ホンゴウソウ科は、熱帯を中心とする森林の落葉のなかに生える小型の多年草で、葉が鱗片状に退化した葉緑素のない腐敗植物です。ホンゴウソウは、千葉県南部から#本州南岸に沿って、四国、九州から琉球列島まで点々と分布しています。茎は高さ4㎝から8㎝、細い針金状で直立し弾力があります。地上に出ている部分は淡紅色か淡紫紅色で、地中の部分は白い。地下茎は細くて横に走り、毛のある根を出します。

以上は極めて珍しい植物で、昭和35(1960)年、神谷、尾崎窟氏(元伊野中学校長)によって、小野で自生しているのを確認されました。

(本項、ウエマツソウ・ホンゴウソウの解説は「朝日百科の世界の植物=朝日新聞社刊」によるものです。)


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