藤ヶ瀬薬師堂の薬師如来像と月光菩薩像

藤ヶ瀬ふじがせ薬師堂やくしどう薬師やくし如来像にょらいぞう月光がっこう菩薩像ぼさつぞう

所在地
いの町枝川
所有者
内田法念
員数
2
指定日
平成8(1996)年5月1日

1.木造薬師如来像(全高75㎝、像高47㎝)江戸時代

寄木造。蓮華座(れんげざ)に結跏跌坐(けっかふざ)をなし、左手膝上、右手胸前で第一・二指を捻じています。薬壺(やっこ)は欠損。螺髪は大粒に切り、肉髻はやや大きく作り、尻上がりの細い目を刻み、口元は小さいです。膝張りもゆったりとつくられ、衣褶そして衲衣はそつのない完成された作風をみせ、江戸時代、それも前期の作風をみせています。台座は連肉、連弁、敷茄子、華盤(けばん)受座、敷茄子、受座、反花、框からなり、弁には線を入れ、朱を一面に塗布しています。舟型飛天光の光背を持ち、その高さ76.5㎝、頭光は円形をなし、身光は存しません。褐色の塗料が厚く塗布されています。

薬師如来については、寛永3(1626)年に新しく建立した旨を記す棟札(高さ40.5㎝)が存し、さらに寛保元(1741)年に再興(補修)した旨の棟札(高さ72.5㎝)が存する。また、後者の棟札には再興した仏師長谷川宮内まで記しています。

2.木造月光菩薩立像(像高30.7㎝)室町時代後期

薬師如来の両脇(わき)侍(じ)のうち、日光菩薩はなく残存するのは月光菩薩像のみです。頭頂に茶筅状の細い宝髪を結び、台座は欠失している。左手を垂下し、右手上に蓮花茎を持つ痕跡があります。本来は、蓮茎上に月輪を持つものでしょう。造りは簡素で、極端に衣紋も省略、幅広い顔に眉目を長く刻み、下ぶくれした表情です。像全体に褐色の塗料を薄く塗っています。これらの面相や衣紋の感じから室町時代後期の作風をみせています。

薬師堂は江戸時代に建立されたもので、本菩薩は薬師三尊仏として薬師堂の前身光念寺の本尊としての可能性が強いですが、薬師如来・日光菩薩両像は欠失しています。


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